間違ったコスパとタイパ
最近、お客様との商談時、『どこの会社も最近エンジニアの質が落ちた』とご指摘されました。
曰く、『①技術のレベル』と『②人間のレベル』の両面にその傾向があるようです。
弊社のようなSESを生業にしている企業にとってその言葉は決して無視できない話であるため、詳しく聞いてみました。
①の『技術レベルについての低下傾向』は『気づきのない技術者が増えた』ということを指していました。
『気づきがない』とは端的に『作業の抜け欠け』『(ミスが発生する)想定のなさ』を指しており、PDCAでいうところのCに当たる部分です。
『正しい状況』の説明量を1とした場合、どこに問題がどのように起きるかの想定をマニュアル化することは100以上の量になります。
悲しいですが、現実的にそれを覚えることができる人も、解説できる人も一握りの天賦の才を持つ人だけでしょう。
天賦の才がない人がそれに近づくには『経験』を積み重ねるしかないのですが、ここで②が関わってきます。
②の『人間のレベルの変化傾向』は、主に『コスパ』『タイパ』といわれる言葉に影響されているようです。
両方に言われるパフォーマンスという言葉をgoogleで検索すると以下の意味が出てきます。
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1.演奏。上演。演技。
2.人目をひこうとする行為。
3.性能。できばえ。
「コスト―」(要した費用に対する成果の割合)
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そこから『コスパ=費用対効果』『タイパ=時間対効果』と説明できるのですが、最近はその言葉が独り歩きして『費用と時間を使わず対価だけ欲しい』という意味と理解されているようです。
正直、本来SESって企業からもエンジニアからしても、コスパもタイパもいいんです。
エンジニアからすれば『学校で実践レベルを習得するのに数十万のお金を払う』のと『お金を貰えて実践レベルで使える技術も習得できる』のではこんなに費用対効果と時間対効果いい話もありません。
企業からすれば『最低限の技術的とっかかりがある技術者に育ててから実戦レベルにする』のと『技術的とっかかりがある技術者を実戦レベルにする』のではその差は明らかです。
『習得するために時間も手間も払いたくない』=『勉強のために仕事したくない』という『コスト&タイム0』なエンジニアが増えている傾向があると言われ、核をついているなと感じました。
『ただですぐに技術とお金だけ欲しい』、そんないい話があればいいのですが、それこそ分厚い全てが書かれた本があっても目の前の問題点に『気づけない』、それが最近の傾向だということです。
凄く耳の痛いお話でした。